袖 ひ ち て むすび し 水 の こ ほれる を 春 立 つけ ふ の 風 や と くらむ。 駆け出し百人一首(39)袖ひちて掬びし水の凍れるを春立つけふの風やとくらむ(紀貫之)|吉田裕子(国語講師)|note

立 つけ し 春 ひ を や くらむ て こ 袖 むすび 風 と の 水 の ほれる ち ふ

高振 2神妙之思 1獨 2歩古今之間 1。 快く感じられるものも、不快に感じられるものも、「におい」です。

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「紅」は色の名であると共に、花の名(ベニバナ)でもある。
立 つけ し 春 ひ を や くらむ て こ 袖 むすび 風 と の 水 の ほれる ち ふ

山に迎えに行こうかしら、それともひたすら待っていようかしら。 中途半端に。 【他出】友則集、五代集歌枕、俊成三十六人歌合、定家八代抄、時代不同歌合、歌枕名寄 【参考歌】作者不明「寛平御時中宮歌合」 東路のさやの中山なかなかに見えぬものから恋しかるらむ 「後撰集」 東路のさやの中山なかなかにあひ見てのちぞわびしかりける いずれも掲出歌との先後関係は明らかでない。

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この心は花の心であり、人の心と解する説は認められない。
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紅葉を錦と言っている。 行 く水に数かくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり 作者:読み人知らず(古今集) 意味:流れる水に数取りの線をひくよりも頼りにならないのは、思ってもくれない人を思うことである。

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至 レ有 下好色之家以 レ此爲 2花鳥之使 1、乞食之客以 レ此爲 中活計之媒 上。 適遇 2倭歌之中興 1、以樂 2吾道之再昌 1。
立 つけ し 春 ひ を や くらむ て こ 袖 むすび 風 と の 水 の ほれる ち ふ

下帯が身体を一回りして出会うことに喩えて言う。 其餘業 2倭歌 1者綿々不 レ絶。

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又 山邊赤人といふ人あり 〔けり イ〕。
立 つけ し 春 ひ を や くらむ て こ 袖 むすび 風 と の 水 の ほれる ち ふ

【補記】当時の常識からすると、夕方に男の訪れを待つ女の立場で詠んだ歌ということになる。

袖の涙が凍るといった表現は誇張的な修辞と受け取られがちであるが、当時の人の感情の振幅の激しさや、暖房に恵まれなかった事情を考えるべきであろう。
立 つけ し 春 ひ を や くらむ て こ 袖 むすび 風 と の 水 の ほれる ち ふ

『( 去年の夏に)袖を濡らしながら両手にすくい取った水が( 冬の寒さで)凍っていたのを、 立春の今日の風が解かしているだろうか』 この歌、一首の中に「 夏」「 冬」「 春」のスリーシーズンが詠み込まれていることでも知られています。 女をはなれてよめる 雁 かり の 卵 こ を 十 とを づつ十はかさぬとも人の心はいかがたのまむ (古今六帖) 【通釈】たとえ雁の卵を百箇重ねることはできても、人の心はどうして信用できましょうか。 そのことに掛けて、今は別れても、後には再会しようとの思いを述べた。

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掲出歌では両意を掛けて、苦しくて我慢しきれなくなる心の状態と、緒が切れて散乱する玉のイメージとを重ね合わせている。
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今夜の月はさやかに照ってほしい。 な 行 夏 の夜はまだ宵ながらあけぬるを雲のいづこに月やどるらむ 作者:清原深養父(古今集) 意味: 夏の夜はまだよいの口であるまま明けてしまったが、雲のどこに月は宿っているのだろうか。

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歌人としては、が親王であった頃、すなわち元慶八年 884 以前に近侍して歌を奉っている(『亭子院御集』)ので、この頃すでに歌才を認められていたらしい。
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「日の光」の「日の」を略した形と見る説もある。

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不可能なことの喩え。 詞書によれば遺族を慰めることを主とした歌と見るべきであろうが、むしろ自身に言い聞かせるような、切なる響きを持っている。
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瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば ましてしぬはゆ 何処より 来りしものぞ まなかひに もとなかかりて 安眠し寝さぬ 作者:山上憶良(万葉集) 意味:うりをたべると子どものことが思い出される。

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【他出】寛平后宮歌合、新撰万葉集、友則集、古今和歌六帖 【主な派生歌】 鶯の来やどる花に飛ぶ蝶はいづれ心のまどひまされる 夕されば蛍よりけに燃ゆれどもひかり見ねばや人のつれなき (古今562) 【通釈】夕方になると、私の思いは蛍よりひどく燃えるけれども、蛍と違って光は見えないので、恋人は冷淡な態度をとるのだろうか。 しかあれど、これかれ得たる所えぬ所、互になむある。